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ネットワーク化された非営利団体はソーシャル・カルチャーを持っている~あなたの組織のソーシャル・カルチャーとソーシャルメディア・ポリシーを刷新するためのアドバイス

Credits:
Written by Beth Kanter on January 15, 2010
Translated by Kenichi Sego on September 21, 2011
Edited by TechSoup Japan

非営利団体は、単一の団体としてよりも、よりネットワークのように機能し、ソーシャルメディアを梃子(てこ)にして複雑な社会問題を解決していく必要があります。これは、私とAllison Fineの共著『ネットワーク化された非営利団体(The Networked Nonprofit)』でのメッセージです。単一の団体から、組織の壁の内外でネットワーク化された方向で機能する団体にシフトすることは、多くの団体にとってワンステップのプロセスではありません。これは、電球の交換のようには簡単ではないのです。私たちの本では、変化のための12ステップのフレームワークを提示しています。

ネットワーク化した非営利団体は、なにかを「する」ようになるその前に、まず「なる」ことが必要です。「する」の部分には、すべての戦術レベルの細かい事柄やツールの利用が含まれます。あなたが誰かから、「我々の非営利団体はソーシャルネットワークを試したけど、自分たちの役には立たなかったよ。」と聞いたことがあるとしたら、おそらく彼らが最も大切なステップである「なる」という部分をスキップしてしまったことが原因です。ネットワーク化した非営利団体は、ソーシャル・カルチャーを創造し育てなくてはならないのです。

ソーシャル・カルチャーとは、その組織のすべての構成員がソーシャルメディアを用いて組織の内外の人と関わり、プログラムやサービスを改善し、またコミュニケーションの目標に到達することができるところに存在する文化のことです。ソーシャルに働くということは、組織が当然のものとして仮定しているリーダーシップ、役割、構造について異議を申し立てるものです。それは、なにを管理することが大事なのか、そして何をコントロールしないままにしておくかについて、組織として深く考えることを強います。ソーシャル・カルチャーは、組織が何に価値をおき、どのように活動するかという核心をねらい打つものなのです。

ソーシャル・カルチャーを持つ組織にはしばしば、次のような特徴があります。

  • ソーシャルメディアを用いて組織内外の人々と組織の活動や成果について双方向の対話を行う。
  • 失敗を許容し、計算されたリスクをとる。
  • 学習とふりかえりを奨励する。
  •  「試してみてから直していこう」というまず失敗することを強調するアプローチをとる。
  • オープンで強固な議論により、組織の慣性(「私たちはいつもこのようにやってきた」)を乗り越える。
  • インフォーマルさ(informality)や個の主体性(individuality)は、思いやりや専門性、品質を欠くということを意味するものではないということを理解し認識する。
  • 際限ないチェックと承認のプロセスよりも、スタッフを信頼し、彼らが判断を行い状況に素早く対応できるようにする。

ソーシャル・カルチャーを創ることは、単にソーシャルメディア・ポリシー(方針)を書くことで実現するものではありません。まず次に示すものを実現する必要があります。

Leadership Buy-In(リーダー層の巻き込み)

組織の文化は組織のリーダーの巻き込みとサポートなしに変わりません。したがって、組織のリーダーたちがよりソーシャルになるための最初のステップは、彼らが個人的にあるいは職業的に自分のことをソーシャルメディアに公開した時にうまくいかない可能性に対する恐れに向き合って、願わくはそれを乗り越えることです。
組織、特にそのリーダーは、これらの問題についてスタッフと率直に話すことが必要です。彼らは、他の組織がどのように自己開示し、そしてこれらの恐怖とつきあい、その恐れを軽減したのかについて知る必要があります。組織のリーダーは、自分自身のために、なぜこれらのツールがとてもパワフルなのか発見する必要があります。そして、その唯一つの方法は、自ら試してみることなのです。

The Internal Conversation(内部の対話)


しばしば、懐疑論や抵抗は、組織が効果的な実践へとつながるソーシャルメディアに対するオープンな対話を持つことを妨げます。組織にとって、ソーシャルメディアの責任を夏休み中だけ働くインターン生に押し付けて済ませてしまうのは、とても簡単です。しかし、それをすることで組織は価値を失っているのです。次のような難しい問題に向きあうことが大切です。

  • ともかくその価値は何なのか?
  • もしネガティブなフィードバックを受けたら?
  • もしスタッフがFacebookに時間を費やしすぎたら?
  • これは時間の無駄では?
  • もし間題を起こしたら?
  • これは仕事を増やして情報過多を引き起こすのでは?

これらのもろもろの疑問と格闘することは、ソーシャルメディアと効果的につきあうためには必須のことです。このような質問を問うことは、懸念を緩和するためのソーシャルメディア戦略のコンティンジェンシー・プラン(訳注:問題が起こった際に備える代理計画)を作成する手助けになります。そして、最終的に、より良い公式なソーシャルメディア・ポリシーができあがります。

Codifying a Social Culture(ソーシャル・カルチャーを明文化する)

組織の中にソーシャル・カルチャーが根づいた後は、それを公的なものにし、紙面におとして記述しサポートすることが大切です。ソーシャルメディア・ポリシーを作成することにより、上級スタッフがソーシャルメディアの使用を取り入れ、それについて責任をとるのを保証するのです。またソーシャルメディア・ポリシーは、各スタッフになにができてなにができないのかを知らせる方向性を示します。これらのポリシーは、ソーシャルメディアのツールが時を経て成長するのにつれて、変化し、進化していくことでしょう。

ソーシャルメディア・ポリシーもしくは、その他の関連する組織のポリシーを作成するには、3つのステップが必要です。

1.    ポリシーを創る:ポリシーを作成して、それで何を達成したいのかを決定する。
2.    教育する:職員をトレーニングし、それが意味するところに気がついてもらうことが大切です。
3.    施行する:これはトップダウンのコントロールについてというよりは、ポリシーを継続的に使用し、
改善し、学んでいくことを意味していま す。それは引き出しにしまわれておくべきではないのです。

Social Media Policy Document(ソーシャルメディア・ポリシー文書)

あなたの組織は、Social Media Policy Tool のようなオンラインツールにある、幾つかの質問を元にしてポリシーのひな型を作成したいという誘惑にかられるかもしれません。しかし、この文書はたんなるスタート地点であり、完成したポリシーではないことに気をつけてください。ポリシー作成でのプロセス―議論、巻き込み、教育―は、ソーシャルメディアの効果的な利用のために決定的なものなのです。

あなたの組織の既存のポリシーや他の組織のポリシーを見直してください。オルティメーター・グループ(Altimeter Group)は、wikiサイト上でたくさんのポリシー(ただし多くは企業のものですが)を公開しています。私は、非営利団体のポリシーのまとめと、非営利団体のポリシーに何が含まれているべきなのかについての概要を投稿しました。あなたの団体のポリシーに何が必要かを具体的に考えてください。カット・アンド・ペーストではいけません。ポリシーには運営的側面もあります。すべてのコツとベスト・プラクティスも含めてください。

次に挙げるのは、あなたがソーシャルメディア・ガイドラインの中で示すべきトピックのチェックリストです。

General Guidelines(一般的なガイドライン)

  • 哲学(Philosophy)
  • ソーシャルメディアの組織としての利用(Organizational Use of Social Media)
  • 責任(Responsibility)
  • 透明性(Transparency)
  • プライバシーと個人情報(Privacy and Personal Information)
  • 所有権に関する情報(Proprietary Information)
  • 正しい判断と認識(Good Judgment and Respect)
  • 生産性(Productivity)
  • 間違い(Mistakes)

Employee Personal Social Media Use(従業員個人のソーシャルメディアの利用)
  • 開示範囲(Disclosure)
  • 免責事項(Disclaimer)

Conclusion(結論)

組織のカルチャーをシフトさせることは、たんにソーシャルメディア・ポリシーを書くことでも、新しいツールを使うことでもありません。それは、実際に仕事と組織について根本的に異なるやりかたで考えることを意味します。それをすることが、組織をネットワーク化した非営利団体にし、より関係性の中で働くことができるようになり、問題を解決し、ミッションに合致することを手助けするのです。

About the Author:(著者について)
ベス・カンター(Beth Kanter)はベスのブログ(Beth’s Blog)の著者です。ベスのブログは、最も長く続いていて、最も有名な非営利団体向けのブログの一つです。J・ワイリー出版社(J.Wiley)より2010年に出版される「ネットワーク化した非営利団体(The Networked Nonprofit)」の共著者でもあります。

ベスはゼオティカ社(Zeotica)のCEOであり、ゼオティカ社は非営利団体とソーシャル意識の高い企業に対して、トップレベルのオンライン・マーケティングサービスを提供しています。2009年に彼女は「Fast Company Magazine」により、技術分野において最も影響力のある女性の一人として名前が挙げられました。そして、ビジネスウィーク誌(Business Week)の「ソーシャルメディアのイノベーションに対しての声(Voices of Innovation for Social Media)」の一つとして紹介されました。彼女は、現在、パッカード財団のソーシャルメディアと非営利団体に関する客員教授(Visiting Scholar for Social Media and Nonprofits for the Packard Foundation)です。